出来へんから勉強すんねん
特別支援学級には、いろんな子がおる。
そんな中に「僕はダメな人間や」と、何かしらの失敗をする度に自己嫌悪に陥る子がおるんです。
でも、特別支援学級の子らは、少なからずそういう子らが多いんです。
ある日のある授業の時、一人・・・ 肢体不自由の子が、同じ教室の片隅で身体機能回復訓練をしていました。
「痛い、痛い」と言いながらも訓練を続けています。
しばらくして、担当の先生とその子は廊下にでました。
歩行訓練です。
その子の最も嫌な歩行訓練。
私は廊下に出ました。
固まって、不自然に曲がった足首のままその子は廊下の向こうに懸命に進んで行きます。
私は、教室に戻って漢字の勉強をする子たちに廊下に出るように促しました。
歩くのが困難だからこそ・・・ 歩けないからこそ、訓練を続けているんだということを皆に感じて貰いたかったからです。
皆が廊下に出た時には、丁度、廊下の向こうからその子が戻って来るところでした。
皆、その子が自由に動かない足首のまま懸命に歩行訓練を続ける姿に、何かしら感じるところがあったのだと思います。
廊下の両側に三人ずつ分かれて、その子を迎え、拍手を送りました。
分からないことがあるから勉強する。
出来ないことがあるから、勉強する。
だから、勉強中に分からないことがあってもOK。
出来ないことがあってもOK。
「僕はダメな人間だ」なんて思わなくてOK。
出来ないことがあるから勉強する。
分からないことがあるから勉強する。
そういうことを感じてもらいたくて、皆を廊下に連れ出しました。
出来ないからダメなのではない、
出来ないから、出来るように努力する。
分からないから、分かるように努力する。
出来ないからといって、分からないからといって、ダメなのではない。
学び続ける姿勢を持ち続けることが出来るのか、どうか・・・ なんです。
そんな話を、特別支援学級の子たちにしました。
特別支援学級の子たちに限らず、子どもたちに、自己肯定感を持たせてやることが、教育の基本だと思います。