通級教室より その1

私が特別支援教育や障害について深く考えるようになったきっかけは、それぞれ1年ずつでしかありませんが、退職後の特別支援学級と特別支援学校での勤務です。

そこでは、それまで見えていなかったものが見え、その度に、それまで分かっていたつもりのことが、実は、分かりきっていたわけではなかったのだと気づかされました。

そしてこの度、一般校における通級指導を担当するにあたって、改めて、特別支援教育について考えてみることにしました。

特別支援教育とは、特別な支援を必要とする子どもたちに行う教育です。支援とは、本人の出来ない(苦手な)ことを自立を促しながら一緒に行い、出来ない幅を少しでも減らし、出来る幅を少しでも増やすためのものです。

例えば、脳性麻痺により身体を自由に動かすことが出来ない子どもたちへの支援として、特別支援学校では様々な身体トレーニングを施します。

四肢(両手足)の可動域が少しでも広がるように、座った姿勢を少しでも自力で維持出来るように、仰向けに寝転んだ状態で少しでもお尻を持ち上げることが出来るようにと、日常生活において自力で出来ることを少しでも増やしておくためのトレーニングです。

支援とは、本人の出来ないことを代わりに行う介助や介護と違い、学びと育ちを促すものです。

しかし、身体の成長とともに体重が増し、そのことによって身体機能が低下していくという厳しいげんじつがあります。

そういう身体機能の低下を少しでも緩やかにするためのトレーニングでもあります。

また、将来的に介助や介護を受け続けなければならない子どもたちが、介助や介護を理解し、身体的・心理的に受け入れることが出来る(介助や介護をしてもらいやすい)ように、という狙いもあります。

特別支援教育とは、教員の特別な支援によって子どもたちを育てるものです。

特別支援学校には多くの介助員や看護師がいますが、彼、彼女たちの仕事は、子どもたちが、今、出来ないことを代行することであり、今、必要とされる医療的ケアを行うものですから、教員の行う「支援」とは異なります。

○○が出来ない(苦手な)ことで不安や苛立ちを感じ、物事に対する自信や意欲を持たないでいる子どもたちに、様々な活動を通して達成感を積み上げさせ、成長を促すという教育的観点に立った支援を行うのが教員です。

そして、この特別支援教育の考え方は、いわゆる「障害」の診断を受けた子どもたちだけでなく、全ての子どもたちに向けられたものでなければいけません。

誰にでも身体的な、或いは、精神的な特性があり、その中には、制度としての特別な支援を必要とする特性もあります。

それが、特別支援教育というものです。通級指導もそのひとつです。