通級教室より その3

感覚過敏

放課後の教室で

20数年も前のことですが、後々、不登校の子たち、発達障害の子たちへの対応に多いに役立った、ひとりの女子生徒(Kさん)の言葉があります。

学校を休みがちだったKさんのことが気掛かりだったので、ある日の放課後、彼女を教室に残してあれこれと話をしました。

チャーハンの作り方自慢やアニメの感動シーンのことなど他愛のない話ばかりでしたが、大笑いしたり、時に熱く語る彼女の姿に安心させられました。

 

人酔い

そうして、ひとしきり会話を楽しんだ後、頃合いを見計らって、「何故、学校を休むの?」と訊いてみました。

「何かが嫌だとか、しんどいだとか・・・ そういうことじゃなくって・・・」

「そういうことじゃなくって?」

「人酔い、するんです」

友だちとの人間関係は良好、クラスの雰囲気も気に入っているのだけれど、時々、止むことなく目や耳に入ってくるモノに心がざわついてしまったり、飛び交う視線が痛く感じることがあったり・・・ と、教室に居るのがとてもしんどくなってしまうということでした。

 

感覚過敏

目や耳に入る情報に飲み込まれそうになっていたKさんは、おそらく感覚過敏だったのだろうと思います。

これは、自閉スペクトラム症の特性のひとつですが、こういう知識が当時の私にあれば、もう少し適切な支援が出来たのかもしれません。

その頃はまだ、発達障害についての知識など皆無であった私でしたが、彼女の「人酔い」という言葉は、不登校の子たちや「ちょっと変わった子たち」を理解する上で、大いに役立ちました。

学校現場では、子どもたちから教わることがたくさんあります。

 

通級教室での学習内容

発達障害は、認知の仕方(感じ方・考え方)に特性(クセ)があることから、生活上、学習上、様々な困難が生じてしまうというものなので、通級教室では「コグトレ」を中心にした学習を計画しています。

コグトレとは、「Cognitive Training =認知トレーニング」のことです。

□  認知ソーシャルトレーニン

 感情のコントロールを中心にした社会面への支援学習です。

□  認知機能強化トレーニン

 視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の強弱の特性に困っている子どもたちへの学習面への支援です。

□  認知作業トレーニン

 手指運動の不器用さや、身体運動のぎこちなさに対する支援学習です。

これらの学習を中心に、生活上の相談を受けたり、アドバイスをしたりします。

何よりも、通級教室で「ホッとひと息」つけるのがいいのではないてましょうか。