0点から96点(2)

厄介者扱いされてた子・・・ 以降「T」と記します。

前回で「挨拶」のことをお話ししましたが、授業態度も大切です。

「聞く」「書く(板書内容を)」「考える」の三つの要(かなめ)をきちんと実践する(させる)ということ。

さて、すでに学習意欲のかけらもなかったTにはほど遠い実践。

それどころか、1時間目から昼まで、5時間目から終礼までは寝ずっぱり。

どの教科担当も放ったらかし。

起きていれば、授業妨害。

起こせば、噛み付く。

そっとしておくのが一番、というところでしょう。

「じゃぁ、したいことをしたいようにした方が楽チン」というような空気がその教室に漂うのは当たり前のこと。

だからどの授業も、あっちでザワザワ、こっちでゴソゴソ。

怒鳴り上げました。

「私は真剣に授業をする。おまえたちも真剣に授業を受けろ!」

「しんどいときもある。気がのらんときもある。でもな、頑張ろうと思ってる者もいる。それが、ひとつの教室で、みんなで学ぶ難しさやねん。そういう難しさの中で、大切なことをおまえたちは学ばなアカンねん。教科の中身だけやのぉて、”みんなで〝ってことや。私の社会科は、せやから別名”生きる科〝やねん。授業中、しっかり腰を立てとけ!腰を立てたら顔も上がる!」

毎時間、授業の始めにそういう話をしました。

Tも、机に寝そべるような居眠りは遠慮するようになりました。

一応、机の上には教科書とノートを出し、座ったままカクンと首を折ってるって感じ。

でも、まぁこれでよし、ではない。

カクンとなる度に「くぉらー!」と、喝。

その瞬間、教室全体がピリ!

Tも姿勢を正してしばらくの間は、聞いているフリ。

たまには、そんなTをみんなで弄る。

それでもカクンとくるTを、そーっとみんなで囲んで見つめる。

そういう合図をクラスの、みんなに静かに送っているときは、笑いそうになります。

囲みが完了してしばらくすると、さすがに視線を感じるのでしょうね。

顔を上げ、「えっ?」ってな感じでキョロキョロ。

そこで、みんなで爆笑。

笑いもないとね。

笑いが無ければいけません。

それでも、1学期の中間テストも期末テストも相変わらず白紙状態のTでした。

そして2学期の中間テストも終わり、テストの返却。

そのときのTとの会話が奇跡?を起こしました。(次回に続く)