Kくん

教室掃除のKくん。

誰かと喋るのは苦手な子なのだろう。

誰かと関わる自信もないのだろう。

いつも、一人で静かに本を読んでいる。

でも、誰かに声を掛けて貰いたいのだろう。

でも、でも、声を掛けて貰っても、おそらく返す言葉を探しているうちに、会話を交わす機会を逸してしまうのだろうな。

そんなKくん。

いつも、黒板をキレイにしてくれる。

「ありがとう」と、声をかける。

微かに笑みを浮かべながら、黒板をキレイにし続ける。

ある時、私が「いつも、ありがとう」とKくんに声をかけたとき、たまたま傍にいた女子が、「ありがとう」と声をかけた。

Kくんの黒板をキレイにする手に力が入った、

そんな子が、教室には居るんです。

そんな子を、担任が見逃してはいけません。